健康診断の種類
一般健康診断
このサイトでは、各種健康診断の実施記録等の事後処理を主に解説しています。
省略項目は随時追加いたします。
従業員の健康管理
事業者は、労働安全衛生法第66条第1項で定めるところにより
「労働者に対し、厚生労働省令で医師による健康診断(第10項を除く)を行なわなければならない」
とされている。また、下記項目についても事業者は健康診断をおこなう必要がある。
労働安全衛生法第66条第2項:有害な業務(労働安全衛生規則第22条)で、政令で定めるものに従事する労働者に対し厚生労働省令で定めるところにより医師による、特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。
同 第22条第3項:特定化学物質
同 第22条第6項:有機溶剤
労働安全衛生法第66条第3項:有害な業務※1で、政令で定めるものに従事する労働者に対し厚生労働省令で定めるところにより歯科医師による、健康診断を行なわなければならない。
労働安全衛生法第66条第5項:労働者は、前各項の規定により事業者が行なう健康診断を受けなければならない。
その他歯又はその支持組織に有害な物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務である。
1. 一般健康診断
健康診断、は個々の労働者の健康状態を把握し、適切な健康管理を行うために必要であるとともに、職場において健康を阻害する諸因子による健康影響を早期に発見するためのものである。
労働安全衛生法第66条において、事業者が実施すべき一般健康診断として下記の健康診断項目等が定められている。
(1)雇い入れ時の健康診断(労働安全衛生規則第43条)
- 事業者は、常時使用する労働者を雇い入れた際に、健康診断を行うことが義務づけられている。
- ただし、医師による健康診断を受けた後、3ケ月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証する書面を提出した時は、当該健康診断の項目に相当する項目についてはこの限りでない。
雇い入れ時健康診断項目(PDF)
(2)定期健康診断(労働安全衛生規則第44条)
- 事業者は、労働者に対して1年以内ごとに1回、定期的に健康診断を行うことが義務づけられている。
定期健康診断項目(PDF)
(3)特定業務従事者の健康診断(労働安全衛生規則第45条)
- 事業者は、労働安全衛生規則第13条第1項第2号で定める業務に常時従事する労働者に対して、当該業務配置換時、及び6ケ月以内ごとに1回、定期健康診断を実施することが義務づけられている。
- ただし、労働安全衛生規則第45条2で、前回の健康診断において定期健康診断項目の血液検査及び心電図検査の項目について健康診断を受けた者については、前項の規定にかかわらず医師が必要でないと認める時は、当該項目の全部又は一部を省略することができる。 特定業務健康診断項目(PDF)
(4)海外派遣労働者の健康診断
- 事業者は、労働者を日本国外の地域に6か月以上派遣しようとするときは、あらかじめその労働者に対して医師による健康診断を行わなければなりません。
- 事業者は、日本国外の地域に6か月以上派遣した労働者を日本国内における業務に就かせるとき(一時的に就かせるときを除く。)は、その労働者に対して医師による健康診断を行わなければならない。
海外派遣労働者健康診断項目(PDF)
雇い入れ時・定期・特定業務従事者・海外派遣健康診断項目一覧表(PDF)
2. 一般健康診断の注意点
(1)産業医の選任について(労働安全衛生法第13条、労働安全衛生規則第13条)
- 事業者は政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより医師のうちから産業医を選任し、その者に労働者の健康管理、その他厚生労働省令で定める事項。職場において労働者の健康管理等を効果的に行うためには、医学に関する専門的な知識が不可欠なことから、常時50人以上の労働者を使用する事業場は、事業者は産業医を選任し労働者の健康管理等を行わなければならない。
- 労働者数50人未満の事業場の場合は産業医の選任義務はないが、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師等に、労働者の健康管理等の全部又は一部を行わせるように努めなければならない、ともされています。
- 産業医を選任することで労働者の健康管理に役立ち、衛生教育などを通じ職場の健康意識が向上し、なおかつ職場における作業環境の管理などについて助言を得ることが可能となります。
独立行政法人労働者健康福祉機構 愛知県産業保健推進センター
名古屋市中区新栄町2-13 栄第一ビル9階 TEL:052-950-5375 FAX:052-950-5377
(2)健康診断結果の記録の作成(労働安全衛生規則第51条)
- 事業者は、労働安全衛生規則第43条(雇入時健康診断)・同則第44条(定期健康診断)・同則第45条(特定業務従事者健康診断、海外派遣労働者健康診断)・同則第47条(給食従業員の検便)・同則第48条(歯科医師による健康診断)の健康診断を実施した場合には健康診断個人票様式第5号(PDF)を作成してこれを5間保存しなければならないとされています。
(3)健康診断の結果の通知(労働安全衛生規則第51条の4)
- 事業者は、労働安全衛生規則第43条(雇入時健康診断)・同則第44条(定期健康診断)・同則第45条(特定業務従事者健康診断、海外派遣労働者健康診断)・同則第47条(給食従業員の検便)・同則第48条(歯科医師による健康診断)の健康診断を受けた労働者に対し、遅滞なく当該健康診断の結果※を通知しなければいけません。
※事業者は、健康診断結果を労働者に通知する必要があります。
通常は、健診機関等が作成発行する書面(個人結果通知書)をもって、受診者本人に通知しているケースが多い。
ただし、医療機関独自で健康診断を実施した場合、健康診断個人票とは別に個人結果通知書を作成する必要があります。
(4)健康診断結果の労働基準監督署への提出(労働安全衛生規則第52条)
- 常時50人以上の労働者を使用する場合、労働安全衛生法第44条(定期健康診断)・同法第45条(特定業務従事者健康診断)・同法第48条(歯科医師による健康診断)を行なったときは、遅滞なく定期健康診断結果報告書様式第6号(PDF)を所轄労働基準監督署長に提出しなければいけません。
(5)聴力検査の実施について
- 1000Hzと4000Hzの純音(オージオメーター使用)を用いる選別聴力検査を原則とするが、45歳未満の者(35歳及び40歳の者を除く)については、規定にかかわらず医師が適当と認めた聴力検査をもってかえることができる。
※聴力検査の所見結果については
雇入時健康診断:1000Hzで30dB、4000Hzで30dB
定期健康診断 :1000Hzで30dB、4000Hzで40dBの純音が
聞えれば:「1.見なし」、聞こえなければ:「2.見あり」となり、健康診断個人票の当該番号に○印を付ける。
(6)胸部エックス線検査について(労働安全衛生規則第44条第2項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準)
- 胸部エックス線検査については、従来、原則すべての方に実施が義務付けられていたが、平成22年4月1日から変更された。
①40歳以上の方全員に実施
②40歳未満の方は以下のア~ウ以外の方で医師が必要でないと認める時※1は省略可
ア.5歳毎の節目年齢(20歳、25歳、30歳及び35歳)の労働者
イ.感染症法で結核に係る定期の健康診断の対象となる施設※2の労働者
ウ.じん肺法で3年に1回のじん肺健康診断対象となる労働者※1「医師が必要でないと認める」とは、胸部エックス線検査にあっては、呼吸器疾患等に係る自覚症状及び他覚症状、既往歴等を勘案し医師が総合的に判断することをいう。したがって、胸部エックス線検査の省略については、年齢等により機械的に決定されるものではない。※2感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令(平成10年12月28日政令第420号)第12条第1項第1号に掲げる者具体的には、学校(専修学校及び各種学校を含み、幼稚園を除く)・病院・診療所・助産所・介護老人保健施設又は特定の社会福祉施設において業務に従事する者に毎年度定期の健康診断を実施している場合。
(7)喀痰検査の省略基準を改正
- 従来の省略基準※1に加え、胸部エックス線検査の省略基準を追加。
喀痰検査の趣旨・目的※2を踏まえ胸部エックス線検査を省略された方は喀痰検査も省略可。※1胸部エックス線検査によって病変が発見されない者、又は胸部エックス線検査で結核発病のおそれ1がないと診断された者。※2肺結核の確定診断のために結核菌が検出されるか否かを確認すること。
特殊健康診断
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事業者は、労働安全衛生法第66条第1項で定めるところにより
「労働者に対し、厚生労働省令で医師による健康診断(第10項を除く)を行なわなければならない」
とされている。また、下記項目についても事業者は健康診断をおこなう必要がある。
労働安全衛生法第66条第2項:有害な業務(労働安全衛生規則第22条)で、政令で定めるものに従事する労働者に対し厚生労働省令で定めるところにより医師による、特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。
同 第22条第3項:特定化学物質
同 第22条第6項:有機溶剤
労働安全衛生法第66条第3項:有害な業務※1で、政令で定めるものに従事する労働者に対し厚生労働省令で定めるところにより歯科医師による、健康診断を行なわなければならない。
労働安全衛生法第66条第5項:労働者は、前各項の規定により事業者が行なう健康診断を受けなければならない。
その他歯又はその支持組織に有害な物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務である。
特殊健康診断
特殊健康診断とは、法令で定められた業務や特定物質を取り扱う労働者を対象にした健康診断のことです。
1. 高圧室内業務及び潜水業務
省略
2. 放射線業務
事業者は、電離放射線障害予防規則で定める放射線業務に常時従事する労働者で管理区域に立ち入るものに対し、雇い入れ又は当該業務に配置替えの際及びその後6ケ月以内に1回、定期に医師による健康診断(PDF)を行わなければならないとされています。(検査項目は医師の判断で省略可)また、事業者は健康診断の際に、当該労働者が前回の健康診断後に受けた線量を医師に示さなければならないとされています。
-
健康診断の結果について
事業者は健康診断を受けた労働者に対し、遅滞なく当該健康診断の結果を通知しなければならないとされています。
-
健康診断結果の記録について
事業者は当該労働者が受けた健康診断の結果に基づき事業者は電離放射線健康診断個人票様式第1号(PDF)を作成しこれを30年間保存しなければならないとされています。
-
健康診断結果の労働基準監督署への提出について
事業者は、健康診断(定期のものに限る)を行なったときは、遅滞なく電離放射線健康診断結果報告書様式第2号(PDF)を所轄の労働基準監督署長に提出しなければならない。
3. 特定化学物質
事業者は、特定化学物質障害防止規則で定める化学物質の取り扱い業務に常時従事する労働者に対して、同則で定める化学物質ごとの健康診断を実施しなければならないとされています。
4. 石綿の取り扱い等の業務
省略
5. 鉛業務
省略
6. 四アルキル鉛等業務
省略
7. 有機溶剤業務
事業者は、有機溶剤中毒予防規則で定める有機溶剤に常時従事する労働者に対して、医師による当該業務に配置の際及びその後6ケ月以内に1回、実施しなければならないとされています。
有機溶剤健康診断の検査項目(PDF)
-
健康診断の結果について
事業者は健康診断を受けた労働者に対し、遅滞なく当該健康診断の結果を通知しなければならないとされています。
-
健康診断結果の記録について
有機溶剤中毒予防規則第30条で、事業者は当該労働者が受けた健康診断の結果に基づき、有機溶剤等健康診断個人票様式第3号(PDF)を作成しこれを5年間保存しなければならない。
-
健康診断結果の労働基準監督署への提出について
事業者は、健康診断(定期のものに限る)を行なったときは、遅滞なく有機溶剤等健康診断結果報告書様式第3号の2(PDF)を、所轄の労働基準監督署長に提出しなければならない。
ストレスチェック
Ⅰ.はじめに聞きたいこと「ストレスチェック」とは
自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる簡単な検査です。
受検者への結果通知書が作成されます。
ストレス調査結果項目は3つ
Ⅰ:仕事のストレス原因
Ⅱ:心身のストレス反応
Ⅲ:周囲のサポート
Ⅱ.ストレスチェック実施前(PDF)
1.事業場における衛生委員会での調査審議
法律第18条、省令第22条、指針において事業者は衛生委員会等でストレスチェック制度の実施に関する規程を定め、あらかじめ労働者に対して周知する必要があります。※衛生委員会での調査審議必須事項(PDF)等を参照してください。
Ⅲ.ストレスチェック(PDF)
(1)ストレスチェックの実施方法(PDF)
法律第66条の10、省令第52条の9、通達において期間の定めのない労働契約で使用される者、及び週労間が同種の業務に従事する通常の労働者の1週間所定労働時間数の4分の3以上の常時使用する労働者に対し、省令で定める項目を1年以内ごとに1回実施しなければならないとされています。
(2)職業性ストレス簡易調査票および個人結果
指針では、ストレス調査の調査票についてはストレスの程度を点数化して評価し、その評価を踏まえて高ストレス者を選定し、医師による面接指導の要否を確認するものとされています。また、指針内では57項目からなる「職業性ストレス簡易調査票」(PDF)を用いる事が望ましいとしています。
職業性ストレス簡易調査票を用いて個人結果(PDF)を出力するには標準化得点を用います。この方法は、調査票全57項目に対する4段階の回答から各尺度に該当する項目の点数を算出し、その点数を5段階に換算して評価をします。
(3)ストレスチェック実施者とは
省令第52条の10ではストレスチェックの実施者を医師、保健師、厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師又は精神保健福祉士としています。実施者は調査に基づくストレス程度の評価方法、高ストレス者の選定基準の決定、当該労働者が医師による面接指導を受ける必要があるか否かを確認しなければならない。
(4)高ストレス者を選定するための方法
高ストレス者を選定する基本(PDF)となる考え方として、次の①及び②に該当する者を高ストレス者として選定します。当該資料では、個人プロフィールとの関係が分かりやすく、尺度ごとの評価が考慮された解析方法で高ストレス者の選定方法を示します。
なお、
①「心身のストレス反応」に関する項目の評価点の合計が高い者
②「心身のストレス反応」に関する項目の評価点の合計が一定以上であり、かつ「仕事のストレス要因」及び「周囲のサポート」に関する項目の評価点の合計が著しく高い者
Ⅳ.面接指導(PDF)
(1)面接指導の実施時期
医師の面接指導の実施時期は、省令で労働者が検査結果の通知を受けた後に面接指導を申し出る場合は、遅延なく※1行わなければならない。
また、事業者は要件に該当する労働者から医師による面接指導の申し出があった時は、遅延なく※2行わなければならない。
(2)面接指導の方法
医師は面接指導を実施する場合は、省令で定める項目(省令第52条の9)の他に、以下にあげる項目について確認を行う。
①職場における当該労働者の心理的な負担の原因
②当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状
③職場における他の労働者による当該労働者への支援
②当該労働者の心理的な負担の状況
③当該労働者の心理的な心身の状況
- 指針では、事業者は当該労働者の勤務の状況及び職場環境等を勘案した適切な面接指導が行われるよう、あらかじめ面接指導を実施する医師に対して当該労働者に関する労働時間、労働密度、深夜業の回数及び時間数、作業態様並びに作業負荷等の勤務の状況並びに職場環境等に関する情報を提供するものとする。
- 通達では、面接指導を受ける労働者の所属する事業場の状況を日頃から把握している当該事業場の産業医、その他労働者の健康管理等を行うことに必要な知識を有する医師が行うことが望ましいとされる。また、医師は、面接指導を行うに当たっては「第52条の9の各号に掲げる事項」の確認については、当該労働者のストレスチェック結果を確認することで足りることとされる。
(3)面接指導の結果の記録
法律で、事業者は面接指導結果の記録(PDF)義務があり、省令で定める項目を作成して5年間保存しなければならない。
(4)面接指導の結果の意見聴取
法律で、事業者は医師からの意見聴取は、面接指導が行われた後遅延なく行わなければならない。
通達では、医師の意見聴取については面接指導を実施した医師からの意見聴取が適当であり、当該事業場の産業医等からも面接指導を実施した医師の意見を踏まえた意見を聴取することが望ましいとされています。
(5)面接指導の実施
法律で、事業者は面接した医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは当該労働者の実情を考慮して就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、当該医師の意見を衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他の適切な措置を講じなければならない。
ただし、この場合、指針では事業者が労働者に対して面接指導結果(PDF)に基づく就業上の措置を決定する場合には、あらかじめ当該労働者の意見を聴き、十分な話し合いを通じてその労働者の了解が得られるよう努めるとともに、労働者に対する不利益な取扱いにつながらないように留意しなければならないものとする。
なお、労働者の意見を聴くに当たっては、必要に応じて、当該事業場の産業医等の同席の下に行うことが適当である。
(6)法の規定により禁止されている不利益な取り扱い
法律では、事業者は面接指導を希望する旨を申し出たときは、面接指導を行わなければならないが、労働者が当該申し出をしたことを理由として、当該労働者に対し不利益な取り扱いをしてはならない。
また、指針で、労働者が面接指導を受けていない時点においてストレスチェック結果のみで就業上の措置の要否、及び内容を判断することはできないことから、ストレスチェック結果を理由とした不利益な取り扱いについても行ってはならない。
Ⅴ.集団ごとの集計・分析(PDF)
(1)集団ごとの集計・分析の実施等(集計・分析の対象)
省令で、事業者は当該検査を行った医師等に当該部署に所属する労働者の集団、その他の一定規模集団※ごとに集計させその結果について分析させる。また、事業者は労働者の実情を考慮して、労働者の心理的な負担を軽減するための適切な措置を講ずるよう努めなければならない。
指針では、実施者が集団ごとの集計・分析の結果を事業場に提出するにあたり、当該労働者個人の同意は必要ない。また、単位が少数である場合には労働者が特定される可能性があるので、10人を下回る場合は全員の同意があった場合でも事業者に集計・分析の結果を提供してはならない。
(2)集団ごとの集計・分析結果の実施等(分析結果の活用)
指針で、事業者は結果の集団ごとの集計・分析結果に基づき適切な措置を講ずるに当たって、実施者又は実施者と連携したその他の医師、保健師、看護師若しくは精神保健福祉士等の心理職から、措置に関する意見を聴き、又は助言を受けることが望ましい(努力義務)とされています。
また、労働者からの意見聴取情報及び職場巡視で得られた情報等も勘案して評価する見直し等が必要である。
①産業保健スタッフ及び管理監督者が協力しながら改善を図ること。
②管理監督者に勤務状況を日常的に把握させ、個々の労働者に過度な長時間労働、疲労、ストレス又は責任等が生じないようにする等、労働者の能力、適性及び職務内容に合わせた配慮を行わせる。
尚、集団ごとの集計・分析結果は5年間保存する事が望ましい。
Ⅵ.その他の注意事項
(1)禁止されるべき不利益な取り扱い
指針では、次に掲げる事業者による不利益な取り扱いについては、事業者はこれらを行ってはならない。
(2)労働者が受検しないこと等を理由とした不利益な取り扱い
①検査を受けない労働者に対して、これを理由とした不利益な取り扱いを行うこと。
②検査結果を事業者に提供することに同意しない労働者に対して、これを理由とした不利益な取り扱いを行うこと。
③面接指導の要件を満たしているにもかかわらず、面接指導の申し出を行わない労働者に対して、これを理由とした不利益な取り扱いを行うこと。
(3)面接指導結果を理由とした不利益な取り扱い
①措置の実施に当たり、面接指導を行うこと又は面接指導結果に基づく必要な措置について医師の意見を聴取すること等の法令上求められる手順に従わず、不利益な取り扱いを行うこと。
②面接指導結果に基づく措置の実施に当たり、医師の意見とはその内容・程度が著しく異なる等医師の意見を勘案し、必要と認められる範囲内となっていないもの、又は労働者の実情が考慮されていないもの等の法令上求められる要件を満たさない内容の不利益な取り扱いを行うこと。
③面接指導の結果を理由として、次に掲げる措置を行うこと。
(a)解雇すること。
(b)期間を定めて雇用される者について契約の更新をしないこと。
(c)退職勧奨を行うこと。
(d)不当な動機・目的をもってなされたと判断されるような配置転換又は職位(役職)の変更を命じること。
(e)その他の労働契約法等の労働関係法令に違反する措置を講じること。
(4)守秘義務
法律で、健康診断、面接指導の実施の実務に従事した者※は、その実施に関して知り得た労働者の秘密を漏らしてはならない。
(5)その他の情報取扱上の留意点
指針では、以下の留意点を示している
- 事業者に提供するストレスチェック結果の範囲
- 事業者へ結果の提供について労働者の同意が得られた場合は、実施者は、事業者に対して当該労働者に通知する情報と同じ範囲内の情報について、結果を提供することができる。
- ストレスチェック結果等の共有範囲
- 事業者は、本人の同意により事業者に提供された結果を、当該労働者の健康確保のための就業上の措置に必要な範囲を超えて、当該労働者の上司又は同僚等に共有してはならない。
- 集団ごとの集計・分析の結果は、対象となった集団の管理者等にとっては、その当該事業場内の評価等につながる情報であり、無制限に共有した場合、当該管理者等に不利益が生じるおそれもあることから、事業者は当該結果を事業場内で制限なく共有してはならない。
- データ等の提供制限
- 面接指導結果に関する情報を事業者に提供するに当たっては、必要に応じて情報を適切に加工することにより、当該労働者の健康を確保するための就業上の措置を実施するため、必要な情報に限定して提供しなければならないこととし、診断名、検査値若しくは具体的な愁訴の内容等の生データ又は詳細な医学的情報は事業者に提供してはならない。